なりたくないと思っていてもなってしまうかもしれないものが認知症なのではないかと思います。認知症研究の有名な学者が認知症になってしまったというのはよく知られた話です。
では認知症になるのは防げないのか?認知機能低下は治せる、防げる、とデール.プレデセン博士は提唱します。
アルツハイマー病の患者の脳ではアミロイドβというたんぱく質が異常蓄積し、それが認知症の主要な原因であると一般的には考えられてますが、実はそうではなく、アミロイドβはカビやウイルスから神経細胞を守る防御因子であるとのことです。すなわち認知症の原因には36個の病因があり、アミロイドβはその36個の慢性炎症の結果として生じるものであって、その原因を除いていけば蓄積しないというのです。
歯科に関わる原因のひとつとしてアマルガムがあげられています。アマルガムとは水銀が含まれている金属の詰め物で、昭和、あるいは平成の時代に広く行われた治療です。現在は保険診療に収載されていないので、使う先生はいないと思いますが、そのアマルガムに含まれる水銀が徐々に溶けだして悪さをするので、できればアマルガムは除去して、例えば白い詰め物にやり替えたほうがよいです。ただ金属の詰め物イコールアマルガムではなく、金銀パラジウム合金で治療されていることが主流ですが、たまにアマルガムの方がいらっしゃいます。ただ一般の方はご自身の詰め物がアマルガムかどうか判断できかねると思いますので、金属の詰め物は白いものにこの際歯科医院でやり替えてもらう、というのも良いと思います。
それと歯周病です。歯周病の原因菌のひとつであるジンジバリス菌がアルツハイマー病患者の脳に移行し、菌が分泌するたんぱく分解酵素が神経変性を引き起こし、菌に対する防御反応としてアミロイドβが脳に蓄積するというのです。ですので、歯周病はなるべく歯科医院でケアをしてもらうのがよいです。
デール.プレセデン博士の論文から離れますが、当院で行っている丸山咬合療法におけるMFA治療も認知症予防、改善に効果があります。進行してしまった認知症に効果があるとは言い切れませんが、MCIすなわち軽度認知障害には効果があります。なぜ効果があるかというと、MFA治療をおこなうことにより、脳の血流不足が改善するからです。
現在の認知症治療薬は、重症度を遅延する高額な薬はあるが、特効薬はないようです。そういった現状では、丸山咬合療法によるMFA治療は認知症予防、改善に極めて有効であると思われます。
参考文献:御茶ノ水健康長寿クリニック 白澤卓二先生のご講演より