Dentistry is a work of Love (歯の治療とは愛の仕事なり） 内村鑑三
これは、歯科医師である、私筆者の父に教えてもらった言葉です。キリスト教学者の内村鑑三先生が、自身の歯の痛み、不具合に苦しみ、歯科医院へ行って治してもらったときに色紙に書いた言葉なのだそうです。
内村先生、歯を治してもらってよほどうれしかったのか、治した先生が名医だったか？とにかく歯を治してもらって限りない愛を感じたのは事実でしょう。
私も日々の診療で、患者さんにそう思ってもらえるような治療を常にしたいものです。
先日は、長年にわたり親御さんの介護の世話で忙しく、ご自身の歯の治療に通う暇がなかった、という方が治療に来られ、多数のむし歯があったのですが、そのうちのむし歯でボロボロの一本を30分ほどかけて治したところ、とても嬉しそうにされていました。
私が所属している日本咬合学会の学会理念は、”全身健康ならびに咀嚼、それに付随する咬合に関して基礎的ならびに臨床的探求を行い、その進歩発展を通して国民の全身健康の向上と健康長寿の獲得に寄与することを目的とする、です。
そうなのです。歯科医院の治療はただ単に流れ作業的にむし歯の治療を行うのではなく、少しでも患者さんに健康に過ごしてもらえたら、という願いのもとに診療しているのです。
歯医者が怖いという歯科恐怖症の方は是非内村鑑三先生の言葉を思い出して頂きたいです。
なぜかみ合わせを治すことと全身健康、健康長寿が関係があるのか？いぶかるかたもいらっしゃると思いますが、実際様々な不定愁訴、例えば肩凝り、首こり、腰痛、うつ、アレルギー、頭痛などがかみ合わせを治すことによって良くなっているという多くの実績があるのです。
かみ合わせだけでなく、歯周病の治療も全身健康に寄与しているのです。お口の中は、血管を通して全身とつながっているわけで、歯周病と糖尿病は密接な関係があることはよく知られていることですが、最近では歯周病と認知症はかなり関係しているのではないかと、その方面の研究もいろいろされているようです。また、介護関係では有名な研究ですが、専門的口腔ケアを継続して行うことにより、その施設での誤嚥性肺炎の発症率が激減した、という事実があります。
ただ歯周病は自己診断では十分でありません。毎日歯磨きしていれば大丈夫とは限りません。歯科医院で診察してもらい、定期的な歯石取り、クリーニング,歯磨きチェックが必要です。
